about

12/Keyword%20Discussion/ticker-posts

The Five Principles of Effectuation

この記事はサラス・サラスヴァシーの「エフェクチュエーション」の中の5つの原則について記述します。書籍全体に関する記事はこちらからご覧ください。
Related Articles:【サラス・サラスヴァシーのエフェクチュエーションを読んで】


エフェクチュエーションでは5つの原則に従いながら、下記のフローで規模を拡大していきます。 


※本記事はブラウザの翻訳機能を使用せずにお読みください。

エフェクチュエーションの5つの原則とは?

GPT-4の回答:エフェクチュエーションの理論における「起業家的熟達の5つの原則」は、不確実性が高い状況において効果的な意思決定を行うための指針です。これらの原則は、起業家が直面する不確実性を乗り越え、新しい機会を生み出すための方法論を提供します。

手中の鳥の原則(何を持っているかから始める):

この原則は、自分が既に持っているリソース(スキル、経験、人脈など)から出発し、それを活用することを推奨します。大規模な計画や完璧な準備を必要とせず、手元にあるものを最大限に使うことで、新たな機会を見つけ、活動を開始します。

損失可能な損失の原則:

起業家は、失っても耐えられる範囲のリスクのみを取るべきだとする原則です。目標達成のための潜在的な利益ではなく、失うことができる最大の損失を基準に判断を行います。

クレイジーキルトの原則:

この原則は、関係者やパートナーとの協働を重視します。他者との協力によってリソースを統合し、共同で未来を創造することを奨励します。ここでは、コミットメントを持って取り組む人々との関係構築が重要です。

レモネードの原則:

予期せぬ出来事や変化を利用することを推奨する原則です。起業家は、障害や予期せぬ状況を機会に変える能力を持つべきであり、柔軟性を持って対応することが求められます。

飛行機の中のパイロットの原則:

未来は予測によってではなく、人々の行動によって形成されるという原則です。起業家は、未来を予測するのではなく、現在の行動を通じて積極的に未来を創造する役割を担います。

これらの原則は、伝統的なビジネスプランや市場予測に頼らず、起業家自身の能力、資源、関係性を基に、新たなビジネスやプロジェクトを生み出すための指針となります。不確実性に満ちたビジネス環境において、これらの原則は起業家にとって有効なアプローチを提供します。

私の視点:

もしも、私が参画するプロジェクトの関与者が、この5つの原則を聞いたことがないほど新しいと感じるなら、強いコーゼーション(強制)が支配的な文化圏にいるのかもしれません。体験を振り返ると、年齢が若く、自然科学的な領域の人達にその傾向があったように思います。対立軸が存在せず、絶対真理のように信じられている場合、まず「イノベーションのジレンマ」のような、過度の市場適応が引き起こす問題点をチェックし、「戦略サファリ」のような多角的な視点で観察しました。
参考:【イノベーションのジレンマ - Wikipedia】

もしも、私が参画するプロジェクトの関与者が、この5つの原則”だけしか”聞いたことがないほど「当たり前」と感じるならば、不確実な環境の連続の中にあったのかもしれません。その理由として、身体的、心理的、情報的、社会的、経済的脆弱性が関係しているかもしれません。限界に挑戦する間に蓄積された、意味を感じない物事に与えたダメージのリスクをカバーする関与者を探しました。


手中の鳥の原則(何を持っているかから始める):

エフェクチュエーションでは、客観的物質的なリソースのために、主観と間主観的な側面からアプローチすることを強調しています。

主観:私は誰か?、何を知っているか?:

推測ですが、この問いの立て方は、著者の独特なニュアンスが含まれているかもしません。エニアグラムのタイプ8のような心理状況では、知的、心理的なアイデンティティの探索ではなく、ボクサーが試合前に自身を鼓舞するように確認するような雰囲気だったようにも思います。「私は強い!私は勝つ!」といったニュアンスです。

字義的に解釈するとして「私を知っているか?」で気をつけるべきことの中に、無意識や潜在意識、自我超越的な自己、つまり「私とは思っていない私」があります。身近な体験では、近親者との関係、睡眠中の夢、泥酔中、知的には心理防衛機制やバイアスのリストなどに見つけることができます。それらを「知る」方法は、差異化(分離・分ける)の後の対立の超越的統合(融合・分け合う)による気づきや新しい概念(創造・分かる)を自分の内面で起こす方法として内省を深堀しています。
Related Articles:【瞑想について: ディスカッションとガイド】

私にとって、分離・差異化することは「分かる」ことであり、未分化・混同されたままであることは「分かっていない」を意味します。また、差異化しても分裂したままでは「つながり」が生まれないため、楽器を演奏するようなスムーズさや、価値のレーダーチャートのような全体像が現場で出ませんので「分かったつもり」になっていると感じます。外部環境や関与者との関係のように、自己内部のサブパーソナリティと相互作用しつつ、自己をコントロールするとすれば、無意識的な面を「所有」するように識別できることが大切だと感じています。つまり、後述する「誰を知っていて、誰にアクセスできるか?」に、「もう一人の私」も含めるということです。

間主観:誰にアクセスできるか?:

本書では、起業家は、期待利益もビジョンも不要。目的や信念、ビジョンが曖昧なまま、行動を開始する、と述べています。

脳神経内の神経伝達物質の動きをリアルタイムに計測したい光学顕微鏡の開発に関わっていた頃、適応型の動的な事業推進プロセスである「間主観的行動」を説明するために、太古の地球、水、空、土からCHONが互いを探し求めるように出会い、形作っていった生命のプールのような市場のイメージで説明しました。単純で素朴な生命の「つながり」のアナロジーは今も変わりません。「つながり、つながれ」は、たまに思い出します。それは祈りのようなものです。

私の体験では、物質から生命が誕生するような意味も無意味さも感じる世界観での行動理由について最も説明がしやすく、辻褄が合うのは、発達心理学と、未解決の心理課題(心理防衛機制)です。
Related Articles:【成人の自我発達の各段階における特徴的な心理的防御、病理、および治療: ケン・ウィルバーの統合心理学: 第 8 章】

また現場で参照するような、詳細な説明書としては、リソのエニアグラムの9つのタイプ、9のコンディションレベルの振る舞いの解説が最も実用的でした。ウイルバーのインテグラル理論で言うと、性格タイプごとの発達段階の目安となる「行動と感情と印象」(主観と間主観)のセットが81種類記載されています。「振る舞い」から客観的に感情分析をする際に有用でした。もしも現場に一冊だけ持って行くとしたらこの本を選びます。
※下記の画像は、起業家タイプと言われるタイプ8の標準的な状態
※エニアグラムの著作のうち、有用だったのはリソの著作だけです。性格診断のようなものではなく、発達段階の視点で記載されています。

参考:【Amazon.co.jp: 新版 エニアグラム【基礎編】 自分を知る9つのタイプ (角川書店単行本) eBook : ドン・リチャード・リソ, ラス・ハドソン, 高岡 よし子, ティム・マクリーン: Kindleストア】

許容可能な損失の原則:

『誰にとっての損失なのか』という問いは、意思決定時の大きなテーマでした。私は、「まず拾え、次にもらえ、その次に借りろ」と教わりました。このことを機会の発見ではなく、コントロールによって、また、より多くの利益を求める方向で行うのであれば、他者の損失はどの程度考慮すべきでしょうか。

過度な競争原理と功利主義によって、関与者や未来に対して「損失」を与える可能性があります。損失の範囲は長期の利益や人的資源に与えるダメージも含まれるでしょう。エンロンのような明らかな不正行為に至らなくとも、倫理的な面を無視することはネガティブに影響するかもしれません。短期的な投資資金の損失だけでなく、潜在顧客も含めた関与者の損失、自然環境破壊など、その他の損失も考慮に入れると、解答のない難しい問題でした。

一方、これを過度に意識することは行動のブレーキになるため、思慮深い人ほど機会が減少するかもしれません。

私の解釈では、ここで重要なのは、低コストでリスク回避しているということだけではなく、(広い意味も含めて)「許容可能な損失」の受容は、発展の可能性を秘めた行動に至る「スピード」が速いことにあると思います。そのために、超人的な判断を期待したり、信頼できるメンバーに期待して曖昧な決定にしたり、コーゼーションが強みを発揮するするような変化の少ない環境を選択してきたのだと思います。

クレイジーキルトの原則:パートナーシップによる機会の形成

未分化な融合、超越的な君子の交わり、どのようなものであっても、「つながり」が起きる理由は至る所にあり、それを回避して完全に孤立した状態で精神や生命を保つことは難しと感じます。この融合・接続の仕方にはバリエーションがありますが、本書ではパートナーシップの種類についての分類はされていません。おそらくですが、「コントロールできるかどうか」が対人関係のポイントと絞っているのだと感じました。

対人スキル、営業力、コミュニケーション力などの曖昧な概念(混同・未分化)を差異化(分離)するための視点の軸・角度として、境界の曖昧さ、境界を越えて交わる深さ(限界)の2点の視点は、物質・記号では記述できないスキルや現象の理解に役立ちました。
Related Articles:【個人的な境界について: ディスカッションとガイド】
Related Articles:【コミュニケーション スキルについて: ディスカッションとガイド: 個人間のコミュニケーション】

また、分離(分ける)と融合(分け合う)の弁証法的なプロセスの無限の繰り返しの中に成長・進化・創造・デザインがあるとする世界観は、自他の無意味な融合のあり方の諦念的受容と期待の薄い希望の喜びに繋がりました。つまり接続そのものには良いパートナーシップも悪いパートナーシップも無く、つながるべきところはつながってしまう、コントロールも予測も不可能だと気づいたのです。これは、よく男女の恋愛の比喩を取ります。妻が魅力的でクレイジーな人であったことは幸運でした。
Related Articles:【共感を実践する: 感情の伝染と境界線】

レモネードの原則:予測不可能な将来をリソースとする

予測やコントロールが及ばない事象に対して決定を先送りにすることはノーマルなことだと思います。計算は精緻で無くともリアルオプションのように選択肢を柔軟にしておくことは日常的なことに思います。ただし、不確実な環境では「将来不安」感情が強まるため、前例をもとにしたプラクティスや、予測的な計画書のような、大きく頼もしい拠りどころは欲しくなります。その感情処理に失敗するとエフェクチュエーションとコーゼーションの良い面だけをピッキングしようとして機能しなくなります。その解決は私にとって難易度が高いため、「感情処理」スキルの開発を探求してきました。
Related Articles:【ジレンマについて:ディスカッション&ガイド【プロジェクトデザイン】】

予測できない不確実なことにコストをかけず、コントロール可能なものは予測するコストをかけず、リソースを価値判断(意思決定)に努めました。私の「やり方」の大まかなフローは下記の通りです。相互作用のプロセスの中央に多様な価値の統合を置いています。
Related Articles:【コミュニケーションのフローチャート: 私の方法論の重要なポイント】

飛行機の中のパイロットの原則:市場は紡ぎ出すもの。発見するのではない。

不確実な状況への適応方法:

不確実な環境に適したメソッドやマインドセットは多くの分野で開発されています。プロジェクトマネジメント分野ではPMBOK7の適応型、ソフト開発のアジャイル、マーケティングのデザイン思考、グロースハック、リーンスタートアップ、日本の製造業では野中郁次郎のスクラム型の開発など。
参考:【2020年4月号特集 アジャイル/スクラムから考える開発と経営 | AIS | 一般社団法人 行政情報システム研究所】

ただ、このような方法は、心理的に安全でない状態(恥不安、嫌われ不安)によっては、心理的な負荷が高いかもしれません。また、形式的な導入に留まるかもしれません。私はフィットするので、あまり感じませんでした。自然体で自分でやりやすいように毎回異なる方法をその場で開発するので予測不可能な状況でもガントチャートと予算書を要求されるオーバープランニングな環境が苦手です。
※予測可能な環境では、建設プロジェクトのように設計(工程)に基づいて行います。
Related Articles:【心理的安全性を高める方法について: ディスカッションとガイド】

本書は、コトラーのマーケティングを例に、コーゼーション(目標と計画による伝統的なアプローチ)との対比を明確にしています。それは、あくまで理論的に考察するためであり、実際は状況に応じて使い分けるものとしています。著者も状況に応じて使い分ける大切さを指摘しています。私の経験では、コトラーであれなんであれ、「予測できるかどうか」という状況を受容して読み替えれば、十分に活用できますし、両方とも大事だと思います。市場は予測できなくても類似市場に可能性は感じますし、セグメントやポジショニングは細かく分析しませんが、潜在的な競合や顧客として誰が関係しそうかは、大まかにはイメージできます。たとえ、非営利事業であっても同様に原理原則から導き出して活用することが可能でした。実際、非営利活動の中盤で読んだ、コトラーの著書「地域のマーケティング」を読んで、私が活用できそうなところは全て活用済みであったという印象でした。
参考:【地域のマーケティング | コトラー,P., レイン,I., ハイダー,D.H., Kotler,Philip, Rein,Irving, Haider,Donald H., 正子, 前田, 俊幸, 井関, 博, 千野 |本 | 通販 | Amazon】

ゲリラマーケティング:

本書では「適応」よりも、より積極的なイメージの「コントロール」を強調します。この言葉を好むような他者支配感情が強い場合の適応戦略に役立ったのは、遠い昔に読んだ、乏しいリソースでのマーケティングの具体的な事例が記載されたジェイ・コンラッド・レビンソンの「Guerrilla Marketing」です。現在では、グロースハックや、バイラルハッシュタグのような、インターネット時代に合わせたものになるでしょうが基本的な発想は同じだと思います。
参考:【実践的ゲリラマーケティング―小企業のための成功する広告戦術 | ジェイ・C. レビンソン, Levinson,Jay Conard, 健一, 竹村 |本 | 通販 | Amazon】 


心理的な面のリスク:

本書の著者の言葉選びや、環境(80年代の物質的な制約、社会の発達段階と価値観、多数派の欲求)の情報から、軍隊組織や、住宅のような取引の継続性が低い商材(個人・高額)、消費者トラブルが多い領域のセールスマンのイメージが付きまといました。

所属(安心)や承認(受容)欲求段階の個人・組織は、欲求の対象が「心理」ですので、主観的に満たせない欠乏(未解決の心理課題など)は、間主観的な相互作用に求められます。それは「価値」となります。波長や相性と呼ばれる心理的な人と人との間の関係、心理的なエネルギーと呼びたいような感情が、「売買」の背後でやり取りされます。

交渉や説得による心理的な「コントロール」は、投影性同一化、トライアングル化のような心理的な「巻き込み」が水面下で行われていると感じます。コントロールすることそのものが欲求(自己愛)の場合、逸脱した二枚舌が用いられるかもしれません。これは力や強さを求める挑戦的な状態だけに限らず、怒り感情が出づらい調和主義、退屈を好まない楽観主義者にもしばしば見られますし、上司や部下、プライベートでの人間関係も含めれば局所的には、ほぼ全ての人が該当すると思います。

発達段階の視点:


たとえば、スザンヌ・クック=グロイターの論文にある、”段階2/3: 自己防衛的段階 [ 日和見主義者]”の記述は、本書の起業家的な特徴と一部が一致しているように思えます。この段階に固着がある人(おそらくかなりの、もしくは、全ての人が該当するかもしれません)は局所的に、または、環境の圧力の下で、このような振る舞いを見せるかもしれません。
※その他の段階にも起業家的特徴と見られる記述はあるので、この段階が起業家であるという意味ではありません。どちらかというと、「起業家とは環境が生み出す」という視点です。

欲しいものを手に入れる唯一の方法は、他者を支配し、自分自身を防衛することである。しかし、彼らは利己的な態度で、常に好機をうかがっており、熟考することなく即座に欲しい ものを追いかけるエネルギーを備えているため、日和見主義的(opportunistic) であるとも呼ばれるということを知っておくことは重要である。

彼らは、行動とその結果にある関係についてまだ理解できないため、自分が起こした失敗や問題に対して責任を感じないのである。他者の欠点を非難することが、自分自身を守るための方法である。幸運や不思議な力が自己を守ってくれるということに対して大きな信頼がある。危険で骨の折れる仕事を選ぶ人々は、しばしば、この段階の肯定的で勇敢な側面を象徴している。例えば、テストパイロットの中には、強運の持ち主だが一匹狼だとして知られている者もいる。  

発達段階と一時的退行と情動伝染に関する仮説:

  • 発達段階のある時点に一時的に退行した状態での情動伝染が現象として存在する。たとえば、葬式、結婚式、音楽フェスなどに顕著に見られる。
  • 起業家の躁的状態(気が大きくなるような状態)や能動性(怒り感情)は伝染する。または、恐怖や驚きで受容感情が発生しやすい。能動性への恐怖による反発、怒りの伝染も起こりやすい。
  • 境界の曖昧さや、投影性同一化などの防衛機制には、発達段階の特徴があり得る。顧客の発達段階やコンディションとの相性や波長で「真似できない営業力」現象が数字で現れる。